社会・経済ニュース
2025年11月11日号
民間予測、7〜9月期GDPは年2.5%減
民間シンクタンク10社による2025年7〜9月期の実質国内総生産(GDP)速報値予測によると、10社平均は前期比0.6%減となり、年率換算では2.5%減となることが明らかになった。大幅な減少となった背景には、トランプ米政権による高関税政策により、輸出の減少で大きな下押し要因になると分析している。関税率引き下げなど好条件で日米双方での合意がなされたものの、自国ファーストを掲げ米政権だけに依然として不確実性が残ると懸念されている。

税金の無駄は前年下回るも約540億円
会計検査院は2024年度決算検査報告書で税金の無駄遣いを指摘する事業は319件、金額にして約540億8100万円だったと公表した。件数と金額は前年を下回ったが、検査院は国民生活の安全性確保や防衛、デジタルなど多岐にわたる対象分野で指摘した。会計検査院の原田院長は「国の財政健全化が課題となっている中、国民の税金を原資としている行財政活動全般について引き続き厳正かつ公正に検査を行う」と検査院の使命を強調している。

2025年、出生数70万人割り込む可能性
厚生労働省の人口統計によると、2025年上半期(1〜6月)に生まれた赤ちゃん数は31万9079人だった。前年同期比3.3%減となり、少子化に歯止めがかからない状況にあり、下半期が同ペースで推移すると、通年で70万人を割り込む可能性が高いと見られている。一方、同期の死亡者数は全同期比2.9%増の82万3343人となり、自然減は50万4464人となっている。少子化、人口減社会への流れに歯止めがかかっていない状況にある。

86%が社会保険料の負担が重い
日本世論調査会の社会保障に関する世論調査によると、医療や介護、年金などの「社会保険料負担が重い」と感じる人は「ある程度」を含め86%に上っていることが分かった。負担感の背景には、少子化により現行制度を支える負担が増していることがある。5年前の2020年調査では負担感を抱く人は83%で、依然として「負担感」を抱く向きが多かった。医療や介護サービスを拡充すると社会保険料の負担が増すが、サービス拡充に関しては「現状維持」が73%だった。

7〜9月期年金運用、14兆円超の黒字
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は7〜9月期の運用実績が14兆4477億円の黒字だったと発表した。GPIFの運用資産別にみると、国内株式が7兆484億円、外国株式が6兆3363億円、外国債券が1兆9389億円とそれぞれ黒字となった。一方、国内債券は9059億円の赤字となっている。市場運用をスタートとした2001年度からの累積収益額は180兆1843億円となっている。

働く人の6割超、ハラスメントを経験
総合人材サービス会社「エン」が働く人約2千人を対象にしたアンケート調査で、63%が職場でハラスメントを受けた経験があることが分かった。そのうち、31%が「誰にも相談していない」と答え、その理由を尋ねると「解決にならないと思った」が最多だった。ハラスメントを受けた内容を尋ねたところ(複数回答)、「パワハラ」が最多の90%で、「セクハラ」(21%)、「カスハラ」(19%)、「マタハラ」(3%)が続いた。ハラスメントでの企業対応で求めることは(複数回答)、「相談窓口の設置」が最多の43%だった。

2024年の温室効果ガス排出は最多に
国連環境計画(UNEP)は2024年の世界の温室効果ガス排出量は前年比2.3%増加し、過去最多となったと発表した。二酸化炭素換算で577億トンになるとしたうえで、対策を強化しなければパリ協定で1.5度に抑えることができずに、今世紀中に2.8度上昇すると報告書に明記した。2024年に排出量が多かったのは、中国の156億トンで、米国(59億トン)、インド(44億トン)、欧州連合(32億トン)が続いた。UNEPは「国際社会は対策を加速できるが、政治的意思が欠けている」と厳しく指摘している。

クマ出没、初めて2万件を突破
環境省の発表によると、今年度上半期(4〜9月)の全国でのクマの出没件数は2万792件に上り、統計が残る2009年度以降で最悪となった。出没件数を明らかにしていない北海道を加えると、さらに多くなる。また、捕獲数は6063頭(北海道を含む)となり、前年度の5345頭を超えている。クマの異常出没件数について、同省は「堅果類(どんぐり)の凶作等により、秋にクマ類が市街地に出没」としている。猛暑という異常気象がもたらしたものと考えられる。