社会・経済ニュース
2015年11月03日号
脱デフレの物価目標達成、2度目の先送り
日銀は金融政策決定会合でデフレ脱却のためのプロセスと位置付けてきた2%の物価上昇達成時期を2016年後半ごろへと再度先送りすることを決定した。2013年4月にアベノミクスを支える上で、大規模な金融緩和を実施して物価上昇率2%を2015年4月とするとしてきたが、2014年4月の消費税増税で景気を冷え込み、目標達成時期を2016年前半ごろとしてきていた。

大卒者3年内の離職、依然3人に1人
厚生労働省は2012年3月の大卒者が就職後3年以内に離職した人の割合は32.3%となり、依然、3人に1人が3年内に離職している傾向が続いていると発表した。離職した大卒者の企業規模別にみると、従業員1千人以上の企業では22.8%にとどまっているのに対し、30人未満では5割を超えていた。学生の希望する職種の企業が見当たらずに就職する、いわゆるミスマッチによる不本意な就職した人が多い事を浮き彫りにしており、同省では学生と企業のミスマッチ防止などに力を入れるとしている。

コメや麦の国産価格の下落懸念
農林水産省は環太平洋連携協定(TPP)発効によりコメなどの21品目が受ける影響についての分析結果を公表した。コメは米国とオーストラリアからの無関税輸入枠7万8400トンの設定により、最大限輸入された場合に「国産米全体の価格水準が下落すること懸念される」と指摘し、麦についても事実上の関税である輸入差益が削減されて輸入麦の価格下落が国産麦の販売価格に影響を及ぼすとした。

所得税申告漏れ額、8659億円に
国税庁が発表した今年6月までの1年間に実施した所得税などの税務調査結果によると、申告漏れ総額は前年度比5.4%増の8659億円に達していることが分かった。とくに、同庁が力を入れている富裕層の調査で、調査した4300件の8割近くで申告漏れがあり、前年度比25.3%増の390億円の申告漏れで追徴税額は101億円となっていた。また、株式や土地などの譲渡所得での申告漏れも10.6%増の1500億円となっていた。

新興国投資、27年ぶりに流出超過
国際金融協会が中国など30の新興国を対象に投資マネー動向を調べたところ、2015年に新興国からの投資マネーは流出が流入を上回り、その流出超過額は5410億ドル(約65兆円)に達することが分かった。新興国での経済減速で新興国への投資の魅力が薄らいだことが背景にある。流出超過は1988年以来で、とくに中国(4775億ドル)の流出超過が際立っている。流出した投資マネーは先進国や一部の安定した経済の新興国へ流れている。

全国の活用困難な「空き家」は272万戸
国土交通省が賃貸や売却用の住宅や別荘を除いた一戸建てや共同住宅の全国の空き家320万戸を耐震性不足や破損状況を調べたところ、272万戸の空き家が活用困難だとする推計をまとめた。残りの48万戸は簡単な手入れで再生が可能だとして、リフォームの負担軽減策を設け、同省では今後、空き家活用を後押しする方針である。また、同省が空き家の持ち主を対象に取得経緯を調査したところ、親族からの相続が56.4%と過半数を占め、新築や中古での購入を上回っていた。

中国、36年ぶりに「一人っ子政策」を廃止
中国共産党中央委員会総会は、人口急増を抑制するために1979年に導入した「一人っ子政策」を廃止する決定を行った。36年ぶりの廃止により全ての夫婦が第2子を持つことが認められることになるが、3人以上の出産は認めないとしている。今回の政策転換は、労働人口減少での経済失速を招きかねないことや少子高齢化への対応を図る狙いがある。また、同総会では、2020年の国内総生産と国民の平均収入を2010年比で倍増させる目標達成に向け個人消費の拡大を促進させる方針も示した。

小学校での「いじめ」認知件数、過去最多
文部科学省の問題行動調査によると、全国の国公私立の小学校が2014年度に把握していた「いじめ」は過去最多の12万2721件に上ったことが分かった。中学や高校を加えた全体では18万8千件に上っており、背景には相次ぐいじめによる自殺の増加を契機に学校側が積極的に認知するような意識へ転換したことが挙げられている。児童生徒1千人当りのいじめ認知件数では京都府の85.4件が最多だった。